山田正流(せいりゅう)です!
夏が来ると思い出す。
はじめてヤマダのブログをみてくれた方へ。ヤマダこうみえて美容師です。
ヤマダが今までつくったヘアスタイルはこちらから。
「あー、フロントフォークが曲がってるねぇー。交換だわコレ」
オートバイ屋のお兄さんから残酷な判決が下されました。
何回めだろう。21歳のヤマダはいためたばかりの肩と腰をさすりながら茫然と傷ついた愛車をただながめていました。
フロントフォークというのはオートバイのハンドルと直結し前輪を支える非常に重要なパーツなのですが
前輪のコントロールと衝撃吸収を同時に担うため、きわめて精巧につくられており
転倒などで衝撃を受けると簡単に歪んでしまいます。
当時、恋人とけんかしてむしゃくしゃしていたヤマダは横浜でちょこっと悪さをして憂さ晴らしをしていました。
深夜、横浜から実家に戻る直前、ヤマダの前に仔猫が飛び出してきて。
時速60キロからの急ブレーキでバランスをくずしたオートバイと共にヤマダはアスファルトに叩きつけられました。
恋人と仲直りしたいなー。フロントフォーク曲がってないといいなー。
道路に大の字になったまま、ぼんやりとそんなことを考えていました。
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フロントフォークの交換は部品代と工賃で16万円かかりました。
もうすぐ入るアルバイトの給与はざっと見積もって8万円、あと8万円たりません。
幸いにも夏休み中だったヤマダは元々やっていたアルバイトのシフトを夜にずらしてもらい、1週間限定で警備会社のアルバイトをすることにしました。
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警備会社というと工事現場の交通誘導が思い浮かびそうですが
期間限定アルバイトは交通誘導などの仕事は回ってきません。交通誘導の仕事は一定期間の研修が必要なのです。
なんの経験もない警備会社のアルバイトができることといったら突っ立っていることぐらいです。
夏はイベントがたくさんあり、広大な敷地でやるイベントには大量の警備員が動員されます。
週末、ヤマダは「いたばし花火大会」に派遣され高島平へと降り立ちました。
警備は午後3時からスタート。長く退屈で要領を得ない説明を受けたあと持ち場に配置されます。
ヤマダは土手へ上がる階段前に配置されました。
あたりまえですが、道路に広がりがちな見物客を誘導するのが仕事なので花火に背を向けた状態になります。っていうかそもそも土手の下じゃねぇか。花火なんか一個も見えません。
道路を挟んだ向こう側には4階立てのマンションがみえます。
遮蔽物がないそのマンションは絶好の鑑賞スポットで、まだ明るいうちからマンションの住人の友人縁者とおぼしきひとたちが続々とマンションへと吸い込まれていきます。
うす暗くなってきた夕方、暑さと通気性がわるい警備服のせいでヤマダはまだ花火が一発も上がっていないのにダウン寸前でした。
そんなヤマダの眼前に飛び込んできた20代の男女2対2のグループ。ワゴン車からマンションに向けたくさんの発泡スチロールを運びだしています。
女の子
「〇〇くんって板前さんなんでしょ?料理たのしみ〜♡」
男の子
「ふふん、オレの包丁さばき見て濡れんじゃねーぞっ♡」
女の子
「やだぁー、もーうっ♡」
二度とやんねぇ。警備のアルバイト。
それではもう20年まえのことなのに夏が来るたびこのことを思い出すヤマダが水曜日もお待ちしてまーす。
生涯フロントフォーク交換本数は5本です♡
このブログをみて「ちょっとヤマダのやつに会いに行ってみようかなー」と思ってくれたあなたはコレを読んでみてね!